ドブレ 760CB&ドブレ640CB / Dovre 760CB&Dovre 640CB
■ドブレ760CBJ/ドブレ640CBJ (Dovre)
日本の高気密・高断熱住宅にも対応する最新技術の詰まったモデル
歴史のある薪ストーブのメーカー・ドブレ社(ベルギー)の中で、ドブレ760CBJ/ドブレ640CBJは最新技術の詰まったモデル。オプションの外気取入キットにより日本の高気密・高断熱住宅にも対応できる薪ストーブとなっている。
なにゆえドブレの薪ストーブが「薪ストーブの代名詞」と呼ばれるのか、実際に見てみよう。
今回はメトス名古屋ショールームで活躍しているドブレ760CBJをモデルに、この、薪ストーブの魅力と最大の特徴でもあるメンテナンス性の良さについて検証してみた。
ひとまわりコンパクトなドブレ640CBJも若干パーツが違うところもあるが、ほとんど同じ構造なので参考にしてもらいたい。
■分解(スケルトン)
まずは、ドブレ760CBJをスケルトンにした。
と言っても大掛かりな作業ではない。
もちろんメンテナンス作業をするので、養生や段取りは必要となるが、工具なしで、ここまでパーツを解体できるのは、正直すごいという感想であり、メンテナンスをしやすい設計になっていることが良く分かる。
ほとんどが鋳物製のパーツということもあり、各パーツがそれぞれずっしりと重い。
言い換えれば、頑丈な証拠であり、蓄熱効果が大きいのだと思えば納得である。
スケルトンにしてみて改めて思ったことだが、ドブレ社の数ある薪ストーブの中でも、ドブレ760CBJ/ドブレ640CBJという薪ストーブは最新技術の詰ったモデルであり、特に鋳物の質に自信をもっているからなのか、メンテナンス性を考慮してなのか、精度も非常に高く炉内など、隙間を埋める、余分なセメントやパテ類などが極端に少なかった。
そのため、ストレス無く作業ができ、簡単にスケルトンにすることができる。
ドブレ社はノルウェーで産まれた鋳物メーカーという長い歴史があるというのもうなづける。
■組み立て
次に、各パーツ類や仕組みや魅力を解説をしながら組み立ててみよう。
ドブレ760CBJ/ドブレ640CBJの燃焼方式はクリーンバーン方式ということもあり、薪ストーブの中でもシンプルな部類の仕組みでメンテナンス性に優れているといわれている。
ドブレ760CBJ/ドブレ640CBJユーザーがシーズンオフに自分でもメンテナンスに挑戦してもらえるちょっとしたキッカケになってもらえればと思う。
なぜなら、薪ストーブユーザーは薪ストーブが大好きだから。
愛情を込めてメンテナンスしてもらいたい。
■構造
燃焼の仕組み
■組み立て手順
1.バーニングボトム(BURNING BOTTOM)
炉床のことである。
ドブレ760CBJは3つのパーツ、ドブレ640CBJは2つのパーツで構成されている。
まずは、両サイドから取り付け、そして真ん中のパーツを取り付ける。
ドブレ760CBJ/ドブレ640CBJの特徴としてベルギーワッフルを連想させる鋳物製の多数の格子状のくぼみがあり、灰や熾き火(おきび)を炉床で溜め込みやすくしている設計になっているのだ。
これを「アッシュベット」といい、炉床の保護と保温効果があるのだ。(アッシュとは灰のこと)
朝起きたときに、熾き火が残っていたほうが、焚き付け作業が楽になる。
シーズンオフにこのくぼみすべてをきれいに掃除するのは、正直根気のいる作業だが、シーズン中はアッシュベットとなり、炉内を保温していてくれると考えるならばありがたい。
使用できる薪の大きさは以下のとおりである。
ドブレ760CBJ:最大60cm:最適サイズ50~55cm
ドブレ640CBJ:最大50cm:最適サイズ40~45cm
アッシュベッド おき火の状態もいい感じ!
2.レキュパレーター(RECUPERATOR)を取り付ける
ドブレ760CBJ/ドブレ640CBJの炉内を通過してきた煙が最後に立ちはだかる砦だ。
レキュパレーターの両側から煙が侵入し、そして煙突へ抜ける仕組みになっている。
薪に着火してから、煙が煙突に向かうまで、炉内を効率良く通過し、また、その熱でボディの鋳物の温かさを保っているともいえる。これはドブレ760CBJ/ドブレ640CBJ特有のパーツとなる。
これはドブレ640CBJ、ドブレ760CBJ特有のパーツとなり、精度良く造りこまれている。
3.バーミキュライト(VERMICULITE)
炉内は軽量のバーミキュライトといわれるもので保護されている。
炉内の保護はもちろん、断熱性や保温性にも優れている。
さらに炉内の温度を高温に保つ役割もある。
もちろん簡単に交換可能だ。
ドブレ760CBJは背面2枚とサイド1枚で構成されている。
もう一方はサイドドアがあるために、バーミキュライトはない。(ドブレ640CBJも同じ)
破損した場合、交換は簡単なので消耗品として薪ストーブユーザー自身で交換してほしい。
取替・交換は簡単だが衝撃などには強くないので、注意して取り扱ってほしい。
4.バッフルプレート(BAFFLE PLATE L/R)
「煙返し」とも呼ばれるクリーンバーニング方式の薪ストーブでは最も重要なパーツだ。
ドブレ760CBJ/ドブレ640CBJの場合、鋳物製の2枚の分割式のパーツとなっている。
2枚の分割式になっていることで、メンテナンス性が確実に良くなっている。
取り付ける際は、慣れるまで少々コツが必要かもしれない。
良くみると、左右で形状が違い、バッフルプレートの端に突起物がある。
この突起物をドブレ760CBJ/ドブレ640CBJ炉内(本体内部)にあるアングル状のものに載せる仕組みになっている。
アングルは両サイドに1ケ所づつと、正面側に1ケ所ある。
簡単に言ってしまえば、載せるだけ、ただそれだけのシンプルな仕組みだ。しかし意外に難しく、ぜひ挑戦してみてほしい。
成功のコツは最初に左のバッフルプレートを入れて、少し持ち上げつつ、右側のバッフルプレートを入れると良いだろう。
このバッフルプレートにゆるやかな曲線を沿うように炎・煙が流れ、一瞬速度の鈍った排気ガスに、新鮮で熱せられたエアを供給することによって再燃焼し、ドブレ760CBJ/ドブレ640CBJの美しい炎を生みだすのだ。
もちろん薪の燃費や効率にも影響する重要なパーツだ。
バッフルプレートの取り外しは、最初手間取るかもしれないが、コツさえ理解してしまえば簡単である。
5.カバープレート(COVER PLATE)
天板と炉内の間には、カバープレートという鋳物のパーツがある。これも簡単に取り外し可能だ。
薪ストーブの機種によっても様々なタイプがあるが、ドブレ760CBJ/ドブレ640CBJはガンガンに天板が熱くなるという仕組みではないタイプだ。
ドブレ760CBJ/ドブレ640CBJの場合、トッププレート(天板)の温度計では、200℃~250℃程度とするのがベストであろう。
少々時間はかかるが、もちろんお湯も沸くから心配はない。
各国語の表記で「取り外し禁止」と書いてある。ドブレ社が世界各国で活躍していることが見受けられる。
6.インナートッププレート(INNER TOP PLATE)
トッププレートを外すとインナートッププレートが見える。(全体)
トッププレートとインナトッププレートの間には、ガスケットロープが張り巡らされており隙間を密閉している。
よくみると、奥側の両サイドには、穴が2箇所あり、
正面側のスリットはガラス面へ向かう、エアーカーテンへと続くエアーの通り道なのだ。このエアカーテンの仕組みにより、ガラスを曇りにくくする設計にもなっている。
7.トッププレート(TOP PLATE)
ドブレの鋳物の質は実に良い。鋳物は熱を蓄熱する効果と遠赤外線を輻射する効果がある。また鋳物の特徴でもあるが、無数の凹凸がある。これには意味があり、ストーブトップの表面積を増やし、輻射する面積を増やしているのだ
また、トッププレートは何より広いほうが良い。
やかんを置いたり、ダッチオーブンでシチューやカレーなどをグツグツ煮込んだりと何かと活用できる。
このプレートはかなり重い。だが簡単に持ち上げて取り外すことができる。
裏面には間仕切りが施されてあり、次に述べる給気(エアカーテン)のルートが確保されるようになっている。
室内煙突が接続されたままでも、トッププレートの取り外しが可能である。この仕組みは意外と便利。
8.燃焼空気取入口(AIR)
ドブレ760CBJ/ドブレ640CBJの背面を見ると給気穴が3ケ所ある。
背面からみると細いスリットの方が1次側給気口、太めのスリットの方がエアーカーテン用、真ん中の四角い穴が2次側給気口。
正面の灰受けトレーの内部を覗いてみるとこうなる。
つまり、灰受けトレーの内部を通過したエアがアッシュリップ(炉床の穴・灰を落とす所)のスキマより吹き出るのだ。(一次側給気)
高気密・高断熱住宅にも対応可能なドブレ760B/ドブレ640CBJ外気取入キット(D-OKL)もある。
定価 ¥29,200(税抜価格)(アルミフレキ・ベントキャップ等は別途。)
9.背面内部の裏側
背面のパネル(AIR CHANNEL PLATE)を取り外してみた。こうしてみるとエアーの流れが良く分かる。
このような仕組みで各給気口から取り入れられる。
エアーの役割が明確になっているのだ。
ここでドブレ760B/ドブレ640CBJの秘密を少し。
先ほどの「8.燃焼空気取入口(AIR)」を見直してもらうと良くわかる。
このような良く考えられた仕組みが燃焼効率や燃費にも影響している。
またドブレ760CBJを寝かせてみた。ドブレ760B/ドブレ640CBJの姿はめったに見ることはないだろう。これも給気レバーの仕組みがよくわかる。もちろんシンプルな設計なので調整も簡単だ。
こんな姿はなかなか見れない!
ここまでのおさらいとして動画を用意しました。
10.メンテナンスや消耗品パーツ
薪ストーブの楽しみのひとつとなる、メンテナンスに欠かせないパーツ類である。
ガスケットロープやドブレ専用ガスケットセメント・ドブレ専用塗料などがある。
また、鋳物の錆止め・保護には市販のCRCを使用した。
左からガラスクリーナS82¥2,400、ガラス磨きS84\1,800、ドブレ純正スプレーLAKTB\5,500、黒耐熱スプレー\2,200、CRC(参考)、ドブレSKサービスキット\5,400(ガスケットロープ8φ×5m・セメント)、ドブレセメントカップ(参考)
※価格はいずれも税抜表示
一部のメンテナンス用品はメトスオンラインショップでも購入できるようになったので、利用することをお勧めしたい。
ドブレ760CBJ/ドブレ640CBJで使用するガスケットロープの一覧
<ドブレ640CBJ>
正 面扉8φ:1.5m
灰 受扉8φ:1.2m
サイド扉8φ:0.9m
天 板8φ:2.8m
ガラス 6φ:1.4m
<ドブレ760CBJ>
正 面扉8φ:1.9m
灰 受扉8φ:1.4m
サイド扉8φ:1.0m
天 板8φ:3.3m
ガラス 6φ:1.6m
こんな感じで、ドブレ760CBJは、思ったより手軽にオーバーホールができた。
みなさんもたっぷり使用したシーズンオフなどにはぜひ試してほしい。
■魅力1
ドブレ760CB/ドブレ640CBの魅力は、暖かさや性能はもちろん「使い勝手」や「デザイン」や「コストパフォーマンス」もあるが、やはり、今述べてきたように、「メンテナンス性」の良さもあると思う。
長く愛情をこめて、大切に使用するには、重要なことである。
数ある薪ストーブと比べても良く造りこまれているのを感じることができる。
また、シンプルな大きな耐熱ガラス窓から、見える炎は格別であるし、ドブレ独自のクリーンバーニング方式が演出する、「独特のなめらかな炎」は見ていて気持ちいいし、燃費に関しても心強く、暖かい。
使い勝手も実に分かりやすい設計になっているから安心だ。
エプロン下部にあるの給気レバーの開閉で調節をする仕組みで、スムースに操作・コントロールができる。
向かって右側には、サイド扉もある。
焚きつけ際は正面、継ぎ足しの際や大きな薪をくべる際にはサイド扉を活用するとより便利だ。
特に中・大型の薪ストーブになれば、サイド扉はより有効になるだろう。
薪をくべる際に顔が熱くならないので、使い勝手がよくなる。
灰受けトレーは標準装備となっており、こちらは作業のしやすさを考え、エプロンより上部に灰受け専用扉があるタイプとなる。
■薪ストーブクッキング
ドブレ760CB/640CBの炉内は広く、結構遊べる。
熾き火を作り、ピアットやダッチオーブンを活用していろいろな、薪ストーブクッキングにも挑戦してもらいたいと思う。
どれも、ドブレ760CB/640CB炉内で使用できる。
中には、灰受けトレーを利用して、焼き芋やホイル焼など、
オーブン料理というのもある。
参考までに。
薪ストーブでおいしいやきいも編
■■■
ドブレ760CBJ スペック
本体寸法:W780xD580xH800mm
材質 :鋳物製
燃焼方式:クリーンバーニング方式
色 :ドブレブラック
最高出力:13.0kw(11180kcal/h)
熱効率 :75%
本体重量:210kg
定価 :¥390,000-(税抜価格)
※煙突・工事費は別途(要見積)
ドブレ640CBJ スペック
本体寸法:W650xD550xH760mm
材質 :鋳物製
燃焼方式:クリーンバーニング方式
色 :ドブレブラック
最高出力:11.0kw(9460kcal/h)
熱効率 :79%
本体重量:190kg
定価 :¥320,000-(税抜価格)
※煙突・工事費は別途(要見積)
他の数あるメーカーの薪ストーブと比べても、ドブレ760CBJ/ドブレ640CBJ は、「使い勝手」、「デザイン」、「メンテナンス性」のどれをとっても、このスペックでこの価格帯なら、やはり「コストパフォーマンス」にも優れている。
本当に良い薪ストーブだということがわかる。
※注)ドブレ社(ベルギ-)の諸事情によりパーツ類の仕様や寸法等は予告なく変更する場合があります。
あらかじめご了承願います。
ドブレ760CBJ/ドブレ640CBJ(ベルギー) 輸入元/株式会社メトス
※価格はすべて税別です。