「フィンランドサウナのルーツを求めて」友人や家族と貸し切りで楽しむ湖畔のサウナコテージ ロマヒュッパウス・サウナ
@トゥルク地方・ナーンタリ Naantali/ October, 2014
Moi! ショウ吉永です!
フィンランドの自然とサウナの両方楽しめる「ロマヒュッパウス・サウナ」をご紹介します。身体だけではなく、家族や友人同士で貸し切って心まで温まるのもサウナの醍醐味でしょう。
トゥルクからロマヒュッパウスへ向かう途中にあるナーンタリの港。夏はムーミンワールドへ行く観光客で賑わうのだそう。
ロマヒュッパウス・サウナのあるナーンタリ地域
フィンランド中央駅から電車で約2時間で古都トゥルクへ。そこから西へ約15キロほどに位置するバルト海に面した小さな島々の地域がナーンタリ。ムーミンワールドで有名な島や大統領の別荘などもあり、夏には観光地として賑わうことで有名です。
バルト海に浮かぶ島々には橋が架かっているところも多く、ドライブするだけでもフィンランドの自然と多島美を見ることができます。
ロマヒュッパウスのオーナーで管理人のヘンリックさん。30年ほど前に脱サラしてこの地に移り住んだ際、自宅より先にサウナ小屋を作り始めたのがロマヒュッパウスのはじまり。その後、花の造園業も営んでいたが、現在は専業でサウナ&コテージを運営している。
「子どもの頃、金曜日と土曜日に家族全員で入るサウナが楽しみでしょうがなかったんだ。だからここへ引っ越してきたときも真っ先にサウナを建てたんだ。」と、ヘンリックさん。
ヘンリックさんがサウナやコテージを自ら建てて増やしていったロマヒュッパウス。広大な敷地には数種類のサウナとコテージ、パットゴルフ場、トランポリンなどもあり、馬もいたりします(以前はヤギや羊もいたとのことでした)。ヘンリックさんの遊びごころとセンスが至るところで感じられる場所でした。
水に浮かぶイカダ式サウナ。室内に入ると水中が見える。波がないので酔うこともなく、イカダから飛び込んでクールダウンできる。
フィンランドの森へ、海へ。— フィンランドの自然を満喫する —
明るい時間はフィンランドの自然を楽しみます。
まずは、魚釣り。ロマヒュッパウス敷地内にある桟橋から小型の船で出ます。バルト海は海といっても、塩分濃度はふつうの海よりも低く、海と湖のような雰囲気で波もありません。今回は30分くらいしか釣りの時間がとれず釣れなかったものの、マス科の大きな魚も釣っている人もいました。
次にキノコ狩り。バギーに乗って近くの森へ移動します。達人になってくるといろんなキノコが見分けられるようになるらしいのですが、私達キノコ狩りビギナーは見分けがつきやすいスップロバハベロ(黄色いシメジのようなキノコ)を探します。はじめは全然見つけられなかったものの、目が慣れてくるとだんだんと探せるようになってくるのが楽しい。ちらほらと実っているブルーベリーの実をつまみ食いしつつ、森林特有の湿った空気を吸って柔らかい地面を踏みながらのキノコ狩りは、最高の森林浴でした。
夕方、「Sauna on valmis!(サウナの準備が出来たよ!)」というヘンリックさんの合図とともにサウナへ。
薪ストーブの上に積まれたサウナストーンに水をかけると瞬く間にサウナ室内はロウリュで満たされ、冷えた身体も温まってきたところで、ヘンリックさんが両手にヴィヒタ(白樺の枝葉でできた束)を持ち、ランバスティンをしてくれました。
このランバスティンというのは、リトアニアやエストニアなどでも最近よく見られるもので、ヴィヒタをお湯につけて、それを全身に打ち当てるというセラピー。ヴィヒタが身体にあたる度に心地よい刺激と、白樺の香りがサウナ室内を満たし、アロマとマッサージを一度に体感でき、ランバスティンをしてくれた人とされた人は何となく信頼関係が深まるような感覚があります。
ランバスティンとほどよいロウリュで身体を温めたあとは、黄昏どきの水面へダイブしてクールダウン。これを何度か繰り返してリラックスがピークを迎えた頃にヘンリックさんが「そろそろ食べどきだよ!」と、サウナストーンの上で温まったマッカラ(極太ソーセージ)のサンドを御馳走してくれました。このマッカラサンド、ヘンリックさんの話ではここ20年〜30年でフィンランドのホームサウナ内で食べることが定番化したらしく、香ばしく焼き上がったマッカラサンドが空腹にはすごく美味でした。
大自然のなかにあるサウナで絆を深める。
家族、恋人、または気の合う仲間達だけで日常的ではない場所を貸し切って泊まる、なんていうと、いやがおうにも絆は深まります。
ロマヒュッパウスの良いところをあげるとキリがありませんが、綺麗な空気と素晴らしい自然美のなかで味わう開放感でしょう。フィンランドの家庭以外のサウナでは、男女で分かれるか、
サウナ室のなかは密閉された空間ですから、サウナ室内だけなら都会のサウナと同じ空間かもしれませんが、ロマヒュッパウスのサウナはサウナ室の外も含めてサウナなんだと、あらためて気づかせてくれました。
多くのフィンランド人がこのような自然豊かな湖畔や森
日本でも、都会から離れたところにある美しい自然の中で、家族や気の合う
ロマヒュッパウス
Lomahyppäys
<住所> Hyppäyksentie 85, 21130 Poikko, FINLAND
<TEL> +358-(0)2-252 2641
<アクセス> ヘルシンキ中央駅からトゥルク駅まで電車で約2時間。トゥルク駅から車で約30分。
<URL> http://www.poikkea.com
ショウ吉永 Profile
福岡県生まれ。株式会社メトス代表取締役。本名・吉永昌一朗。
幼少期にボーイスカウトで自然と人の共存の重要性を学ぶ。航空自衛隊で整備士として働いていた時代、基地内にあるサウナへ同僚達と通ったことが、サウナの魅力を知るきっかけとなった。その後、アパレル業界、照明インテリア業界を経て、メトスへ入社。異色のキャリアならではの発想力と行動力で、日本の温浴文化を活性化させている。全国のサウナにロウリュを定着させるため、旧中山産業(メトスの前身会社)が蓄積していた膨大なノウハウと情報を活用し、「ikiサウナ」や「サウナisness」といったロウリュが可能なサウナヒーター、アウトドアでサウナ浴ができる「テントサウナ」など、これまでにないサウナを日本に広めた。近年は、サウナとエンターテイメントを融合させる「ロウリュ熱波隊」プロジェクトや、サウナヨガなど、サウナの新しい楽しみ方を研究・提唱している。共著に「温泉の百科事典」など。