「フィンランドサウナのルーツを求めて」都市からのアクセスも簡単な郊外アウトドア型サウナ

「フィンランドサウナのルーツを求めて」都市からのアクセスも簡単な郊外アウトドア型サウナ

@ヘルシンキ近郊 ヴァンター Vantaa/ October, 2014

 

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Moi! ショウ吉永です!

今回は、ヘルシンキ近郊の郊外アウトドア型サウナ、

『クーシヤルヴィ・サウナ』をご紹介します。

地元の人々だけでなく国外からも訪れる人が多いという

人気のサウナの魅力に迫りたいと思います。

湖のほとりにあるクーシヤルヴィのサウナロッジ。

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クーシヤルヴィ — ヘルシンキ郊外にある森と湖 —

クーシヤルヴィ・サウナのある「カフェ・クーシヤルヴィ」は、ヘルシンキ市内から北東へ約20キロ、ヴァンター国際空港のあるヴァンター市郊外のクーシヤルヴィに存在します。

賑やかなヘルシンキ市内から30分ほどバスで揺られて到着したクーシヤルヴィは、北欧の素朴な自然を絵に書いたような場所。国立公園の麓である緑豊かな森、森に囲まれた小さな湖と浜、湖の横に並ぶカフェや、いくつかのサウナ棟……その野趣溢れる光景はサウナファンに限らず多くの人の心を高揚させるものです。

クーシヤルヴィが国立公園のトレッキングルートの発着点に位置し、ヘルシンキから近いこともあって、休日をバーベキューやトレッキングなどのアウトドアを楽しんで、ついでにサウナも入っていく人達が多いようです。

1979年に設立されたこの施設が長らくフィンランドの人々を魅了している理由は一体何なのでしょうか。

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都心からすぐの伝統的サウナ・スタイル

クーシヤルヴィ・サウナには、いくつかの特長があります。

まずは伝統的なフィンランドサウナ・スタイルの実践。湖畔に立ち並ぶいくつかの施設の中には、電気サウナの他、サウナの元祖・スモークサウナ(savusauna)も用意されています。これはヘルシンキ地区で唯一の公衆スモークサウナでもあり、古来のサウナを体験したい人々を惹きつけています。

さらにフィンランド伝統のサウナ浴に見られる「サウナで熱を帯びた身体のまま湖へ入る(飛び込む)」という作法を楽しめるのも魅力です。その爽快感を求めて、夏はもちろん、冬にサウナと寒中水泳の同時体験を堪能しようとする人々も多く訪れるそう。

尚、複数のサウナ棟では、家族やグループが貸し切りでサウナパーティーを楽しんだり、日帰り温泉的に立ち寄った人々がサウナを楽しんだりと、それぞれ自由に楽しむことができます。

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スモークサウナを体験

せっかくなので私たちもスモークサウナを体験してみることにしました。

スモークサウナとは、閉めきったサウナ室で薪を焚き、室内を煙と熱で満たした後に少しずつ煙を外に逃がし、空間の余熱(といっても高温)でサウナを楽しむもの。サウナの原点であり、『フィンランドサウナの王様』と呼ばれる至高の存在でもあります。

実際、スモークサウナ室の中に入ると、ほどよく燻されたいい香り。室温については(訪れた時間が遅かったこともあり)ピーク時よりも温度が下がっていたようですが、私たちはサウナストーンにお湯をかけて少し温度を上げたりしながら古来のサウナを楽しみました。

その後、他のサウナを体験したり、外でくつろいだり、ゆったりと時間を過ごしましたが、そこで「ゆったりサウナを体験した後は水着で外に出ていても寒さを感じずにいられること」を実感しました(サウナ訪問時はダウンを着込んでいたのに!)。フィンランドという国でサウナが必要な理由を肌で感じることができた瞬間です。

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郊外型アウトドアとサウナの可能性

アウトドアのついでにサウナを楽しむ……そんなサウナの在り方に勉強させられたひとときでした。

日本でも最近はアウトドアとエンターテイメントを融合させた文化が新しく生まれています。「フェス」(野外の音楽フェスティバル)や「山ガール」(トレッキング&クライミングが趣味の女性層)という言葉に代表されるように昨今のアウトドアの人気には目を見張るものがあります。また、アウトドア人口が増えるとともに「本格的アウトドアもいいけど、もっと手軽にアウトドアを楽しみたい」というニーズも強くなっており、住んでいる場所の近場でアウトドアを楽しむことができる施設も増えています。「グランピング」というラグジュアリーにアウトドアを楽しめる施設や、東京・昭島市に2015年3月オープン予定のアウトドア特化型の複合商業施設「MORIPARK Outdoor Village」などは、手軽にアウトドアを楽しみたい人達のニーズを満たしてくれそうな施設として注目されています。

サウナにはアウトドア・レジャー業界を盛り上げる可能性があるのではないでしょうか。サウナの本来の魅力を見直したとき、さらにそれを歴史や伝統、現地の特色や次世代の流行と組み合わせたとき……温浴業界として私たちにできることはまだまだあると強く思いました。

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クーシヤルヴィ・サウナ
Kuusijärvi Sauna

 

<住所> Kuusijärventie 3, 01260 Vantaa, FINLAND
<営業時間>電気サウナ 9:00 – 20:00/スモークサウナ 13:00 – 20:00/カフェ 9:00 – 21:00
<TEL>+358 10 322 7090
<アクセス>  ヘルシンキ中央駅から730,731番のバスに乗りKuusijrvi下車(約30分)
<URL> http://cafekuusijarvi.fi/

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ショウ吉永 Profile

福岡県生まれ。株式会社メトス代表取締役。本名・吉永昌一朗。

幼少期にボーイスカウトで自然と人の共存の重要性を学ぶ。航空自衛隊で整備士として働いていた時代、基地内にあるサウナへ同僚達と通ったことが、サウナの魅力を知るきっかけとなった。その後、アパレル業界、照明インテリア業界を経て、メトスへ入社。異色のキャリアならではの発想力と行動力で、日本の温浴文化を活性化させている。全国のサウナにロウリュを定着させるため、旧中山産業(メトスの前身会社)が蓄積していた膨大なノウハウと情報を活用し、「ikiサウナ」や「サウナisness」といったロウリュが可能なサウナヒーター、アウトドアでサウナ浴ができる「テントサウナ」など、これまでにないサウナを日本に広めた。近年は、サウナとエンターテイメントを融合させる「ロウリュ熱波隊」プロジェクトや、サウナヨガなど、サウナの新しい楽しみ方を研究・提唱している。共著に「温泉の百科事典」など。