スウェーデンの住宅と薪ストーブの関係

スウェーデンの住宅と薪ストーブの関係

スウェーデンの住宅と言っても、北から南まで1,600Kmもあるので一様ではありません。

日本のように北海道と沖縄のような気候の違いはありませんが。

どちらにしろ、南部に位置する首都ストックホルムでも北緯60度の場所に位置する非常に寒い地域です。

昔から北部・中部・南部と地域差もあり、中部以北では木造壁が主流で、松で出来たログ組の建物は木と木の間に苔を挟み、木の伸縮に合わせて苔も成長することで隙間風を凌いでいました。

南部では木造壁だけでなく、石造壁や木と石の合わさった壁があり、伝統的な家ではカバの皮をルーフィング(防水シート)代わりにし、土を敷いて芝草を生やした建物も多くありました。この方法は防火にも優れていたので居住部分に用いられる事が多かったようです。

このような建物は、サマーハウスで一部保存されている所はあるようですが、今はほとんどありません。

我々がイメージするスウェーデンの住宅ですが、それは主にダーラナ(Dalarna)地方の建物を指す事が多いです。

ダーラナ地方はスウェーデン中部に位置し“Dal=谷”を意味しており、谷間と森林の続く場所で、スウェーデンの民族的な伝統が残る“ふるさと”的な地域です。

ここにはファールンという鉱山があり、16世紀から17世紀にかけて世界の銅産出量の約2/3が採掘されている世界一の大銅山でした。

スウェーデンの産業を栄えた銅山からの副産物により、建築の塗料に使われる「ファールン・レッド」が抽出されました。

この色は日本語ではベンガラ色や深緋色と呼ばれており、この「ファールン・レッド」がスウェーデン住宅のシンボルカラーになっています。

私はスウェーデンの繁栄に繋がる大銅山の副産物から出来ている塗料。と言う、とてもロマンチィックなカラーだと感じています。

タイトルの薪ストーブですが、スウェーデンでは地域によって選ばれるストーブも変わってきます。

サマーハウスやコテージでは、天板で調理できるC51ヤンソンのような鋳物タイプが重宝され、都心に近くなればなるほど、より炎を愉しむ事に特化されるようです。

薪ストーブのある空間で、お菓子を食べたりコーヒーを飲むFIKAタイムを過ごし、おうち時間を愉しむのは、みんな同じなんですね。