ドブレアストロライン / Dovre Astroline2
ヨーロッパで人気を誇るシンプルな縦長のデザインの薪ストーブ
ドブレ社(ベルギー)の薪ストーブには数十種類のモデルがあり、Traditional Stoves(伝統的)とContemporary Stoves(現代的)の2タイプに分けられている。
現在、日本で輸入販売されてるものはその中でも限られてくるが、ドブレ760CB/640CBや700SL・500G などの薪ストーブをTraditional Stoves 。
ドブレアストロラインやペガサスCB3・ペガサスCB4・ドブレ350CB・350CBSC(ソープストーンモデル)・360CBなどはContemporary Stoves と呼ばれ、その独特の存在感は、またちょっと違った印象を受けると思う。
ドブレ社では後者はヨーロッパの市場では絶大な人気を誇っている。
私達が薪ストーブの納入を検討した場合はどうだろう。
日本の住宅の様式・工法・間取り・デザインも多種多様化している。
当然何十年も前から日本でも薪ストーブはあったのだが、薪ストーブや暖炉の文化というのもに身近に触れ、普及・認知されてきたのはごく最近のことであると感じる。
薪ストーブの暖かさや炎の魅力を手に入れるには、主に海外製品が多い何百種類もの数の中から、そのユーザーにとって最適な薪ストーブを選ぶ必要があるのだ。
そんななかで、これだ!と決めた薪ストーブがどんな建築、また内装やインテリアにマッチするのかが、重要な決め手になることもあるだろう。
個性的な表情をしている現代的な薪ストーブが魅力的に感じることもあるし、伝統的な定番のタイプを好むこともある。
もちろん安全を考慮した上で、炉台や壁面の仕上げで自分なりのセンスでデザインするのも悪くはない。
そんな点から考えるとこのドブレアストロラインのデザイン性は魅力的であると感じる、シンプルなデザインだからこそ、インテリアとも調和できるだろうし、飽きがくることはないだろう。
また、もう一方で重要となってくるのが、薪ストーブユーザーの使い勝手ももちろん様々であるということだ。
毎日一日中絶え間なく焚くヘビーユーザーから、平日の夜または週末をメインにゆっくり焚く比較的ライトユーザーまで様々である。
生活スタイルやリズムもある。
大は小を兼ねるとは言えないし、デザイン重視に重点をおくことも否定できない。
ただ、そのユーザーにベストな薪ストーブを選んでもらいたい。
今回はドブレアストロラインを主役とし、この薪ストーブ/ドブレアストロラインの魅力をまた違った角度からメトス名古屋なりに独自に検証してみた。
ぜひ、参考にしてもらいたいと思う。
■分解(スケルトン)
まずは、前回のドブレ760CB/640CBと同様に今回はドブレアストロラインをスケルトンにした。
ドブレ社の薪ストーブの中でもいろいろ個性があるから面白い。
前回のドブレ760CB/640CBとは、また少し違った印象を受けたので報告したいと思う。
■組み立て
少し各パーツ類や仕組みの解説をしながら組み立ててみよう。
ドブレアストロラインの燃焼方式はクリーンバーン方式ということもあり、薪ストーブの中でもシンプルな部類の仕組みでメンテナンス性に優れているといわれている。
ドブレアストロラインのユーザーがシーズンオフに自分でもメンテナンスに挑戦してもらえるちょっとしたキッカケになってもらえればと思う。
1.グレート(GLATE CINDERELLA)
炉床のことである。
ドブレアストロラインの場合は鋳物製のパーツで構成されている。
ドブレアストロラインの炉床の特徴として鋳物製のリブがあり、灰や熾き火を炉床で溜め込みやすくしている設計になっているのだ。
これをアッシュベットといい、炉床の保護と保温効果があるのだ。
朝起きたときに、熾き火が残っていたほうが、焚き付け作業が楽になる。
シーズンオフにこのくぼみをきれいに掃除するのは、少々手間のかかる作業だが、シーズン中はアッシュベットとなり、炉内を保温していてくれると考えるならば、ありがたい。
また、炉内の設計は比較的コンパクトになっている。
薪の大きさは横にくべた場合は、30cm以下とするのがベストになる。
(縦・斜めにくべる場合は、MAX40cmまで可能)
2.バッフルプレート(BAFFLE PLATE CINDERELLA)
煙返しとも呼ばれるクリーンバーニング方式の薪ストーブの最も重要なパーツだ。
ドブレアストロラインの場合は鋳物製の一枚もののパーツとなっている。
取り付けるには、慣れるまで少々コツが必要かもしれない。
バッフルプレートの両サイドにあるこの突起物をドブレアストロライン炉内(本体内部)にあるアングル状のものに載せる仕組みになっている。
簡単に言ってしまえば、載せるだけ。
ただそれだけのシンプルな仕組みだ。
最初に手前側を入れて、少し持ち上げつつ、奥側を入れるというイメージで作業すると良いだろう。
このバッフルプレートにゆるやかな曲線を沿うように炎・煙が流れ
一瞬速度の鈍った排気ガスに、新鮮で熱せられたエアを供給することによって再燃焼し、ドブレアストロラインの美しい炎をうみだすのだ。
もちろん薪の燃費や効率にも影響する重要なパーツだ。
3.バーミキュライト(VERMICULITE)
炉内は軽量のバーミキュライトといわれるもので保護されている。
炉内の保護はもちろん、断熱性にも優れている。
もちろん簡単に交換可能だ。
ドブレアストロラインは背面1枚と各サイド1枚づつで構成されている。
破損した場合は、交換は簡単なので消耗品として薪ストーブユーザー自身で交換して欲しい。
4.インナートッププレート(INNER TOPPLATE CINDERELLA)
トッププレートを外すとインナートッププレートが見える。
つまり、二重構造になっているのた。
トッププレートとインナートッププレートの間には、ガスケットロープが張り巡らされており隙間を密閉している。
よくみると、正面向かって右側の奥には、穴が1箇所あり、正面側のスリットはガラス面へ向かう、エアーカーテンへと続くエアーの通り道なのだ。
このエアーカーテンによりガラスを曇りにくくする設計にもなっている。
5.燃焼空気取入口(AIR)
背面のパネル(AIR CHANNEL)を取り外してみた。
こうしてみると、1次側燃焼用給気口・2次側燃焼用給気口・エアーカーテン給気口から、取入れられたエアーの流れが良く分かる。
このような間仕切りにより、各エアーの役割が、明確になっているのだ。
燃焼用空気取入口は3ケ所ある。
背面からみると背面下部にある給気口(背面向かって左側)、大き目のスリットの方がエアーカーテン給気口。
真ん中の丸い穴が、バッフルプレート付近へエアを常に供給している、2次側燃焼用給気口。
正面側からみると、正面下部にある給気口(正面向かって左側)にまた大きな穴がある。
これが1次側燃焼用給気口となる。
灰受けトレーの内部を通過したエアーがアッシュリップ(炉床の穴・灰を落とす所)の隙間より吹き出てくるのだ。
背面カバー(AIR CHANNEL)
燃焼空気取入口(AIR)
ドブレアストロラインを寝かせてみた。
エアーの取入口の様子が良くわかる。
こんなドブレアストロラインの姿はめったに見ることはないだろう。
給気レバーの仕組みは簡単である。
向かって右側のレバーが、1次燃焼用。
左側のレバーがエアーカーテン・2次燃焼用となる。
このエアーを炉内へ取り入れるバランスにより、炎や燃費を調整するのだ。
6.サイドヒートシールド(SIDE HEAT SHIELD)
サイドには鉄板のシールドがついている
鋳物のボディとの間に、隙間ができ、熱せられた空気が対流する仕組みになっているのだ。
7.トッププレート(TOP PLATE)
ドブレの鋳物の質が実に良い。
鋳物は熱を蓄熱する効果と遠赤外線を輻射する効果がある。
また、トッププレートはわりとコンパクトな設計となっている。
わりと小さめのやかんやダッチオーブンを選ぶ必要があるが、
お湯を沸かしたり、シチューを煮込んだりと何かと活用できる。
薪ストーブの機種によっても様々なタイプがあるが、
ドブレアストロラインはこのように二重構造になっていることもあり、
ガンガンに天板が熱くなるという仕組みではないタイプだ。
だが天板の温度では、200℃(弱)程度でキープとするのがベストであろう。
このトッププレートは鋳物製で重い。
だが簡単に持ち上げて取り外すことができる。
トッププレートを取り外すには、煙突を取り外す必要がある。
鉄瓶(Hー158)
肌仕上げの丸型
縦長デザインのアストロラインには、このサイズがよく似合う。(クリックで詳細ページへ)
8.メンテナンス・消耗品パーツ
ガスケットロープやドブレ専用ガスケットセメント・ドブレ専用塗料などがある。
また、鋳物の錆止め・保護には市販のCRCを使用した。
左からガラスクリーナS82¥2,520、ガラス磨きS84\1,890、ドブレ純正スプレーLAKTB\5,775、
黒耐熱スプレー\2,310、CRC(参考)、ドブレSKサービスキット\5,670(ガスケットロープ8φ×5m・セメント)、
ドブレセメントカップ(参考)
こんな感じで、前回のドブレ760CB/640CBと同様にドブレアストロラインも、思ったより手軽にオーバーホールができた。
みなさんもぜひ試してほしい。
ドブレアストロラインガスケットロープ一覧
インナートッププレート 10mmΦx1.8m
ドアガラス 6mmΦx1.6m
ドア 8mmΦx2.0m
9.ログガード(LOGGUARD CINDERELLA)
ドブレ(Dovre)のロゴ入り。
灰がこぼれるのを防ぐと同時に、
薪がガラスに触れるのを防ぐ役割をしている。
10.給気システム
専用の外気取入キットは無となるが、高気密・高断熱住宅の場合は、薪ストーブ本体の燃焼用空気取入口付近にこのような レジスター付の給気ガラリを利用して、外気を取入れると良いだろう。
■魅力
このドブレアストロラインの魅力は、鋳物製の薪ストーブでありながら「シンプルな縦長のデザイン」と「コストパフォーマンス」だろう。
縦長の大きな耐熱ガラス窓から、見える炎は格別であるし、ドブレ独自のクリーンバーニング方式が演出するなめらかな炎は、燃費に関しても心強く、暖かい。
使い勝手は実にシンプルで分かりやすくなっている。
エプロン下部にあるの給気レバーの開閉で調節をする仕組みだ。
日々のお手入れのことも考え、灰受けトレーは標準装備となっている。
12.薪ストーブクッキング
ドブレアストロラインの炉内はそれほど、広いほうとは言えないが、熾き火をつくり、このようにピアット(F-464)を使えば、薪ストーブ料理の定番のピザなども手軽に楽しめる。
いろんな薪ストーブクッキングをぜひ挑戦してもらいたいと思う。
ピアット(F-464)
アストロラインの縦長な炉内でも本格ピザに挑戦できるアイテムだ。(クリックで詳細ページへ)
■■■スペック■■■
ドブレアストロライン
本体寸法:W520xD449xH890mm
材質 :鋳物製
燃焼方式:クリーンバーニング方式
色 :ドブレブラック
最高出力:9.0kw(7,740kcal/h)
熱効率 :79%
本体重量:130kg
定価 :¥295,000-(税別)
※煙突・工事費は別途(要見積)
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ドブレアストロライン をコストパフォーマンスという側面から考察すると「使い勝手」「スペック」「品質」そして「デザイン」が高次元で調和しており大変優れた薪ストーブということができる。
※注)ドブレ社(ベルギ-)の諸事情によりパーツ類の仕様や寸法等は予告なく変更する場合があります。
あらかじめご了承願います。