ドイツサウナ協会ピーパー会長から学ぶ  ドイツのSHOWサウナ文化

ドイツサウナ協会ピーパー会長から学ぶ ドイツのSHOWサウナ文化

@ドイツ, Germany / June, 2019

グーテンタグ!ショウ吉永です。
初夏に再びドイツを訪れてきました。

過去にもドイツのサウナ文化について現地からのレポートを紹介してきましたが、
今回はドイツサウナ協会会長から直接ドイツのサウナ文化の魅力、技術を学ぶことができ、有意義な旅となりました。

その様子をご紹介します。

白夜のシーズンで幻想的な色味になる田園風景

ピーパー会長との出会い

ドイツのサウナの歴史には様々な見解があるものの、第二次世界対戦前までは治癒を目的としていました。

1936年のベルリンオリンピックにサウナが持ち込まれ、発汗だけでなく、健康保持や治癒目的のためにエビデンスを調査し始めたのがドイツの新しいサウナ文化の幕開けとなりました。

その後、温泉療養やタラソテラピーなど医学的要因をサウナに活用し、予防医学、健康志向に転向していきました。当時はドクターの処方によりサウナ浴にも保険が適用されましたが、国家予算が不足してきたこともあり、普及に歯止めがかかりました。

しかし、病気の予防や健康増進を目的として理想的だったスパは、その後も一般大衆に広まっていきました。

現在、ドイツのサウナといえばアウフグースを主軸としたエンターテインメント性の高いサウナとして、世界のサウナ文化の中でも独自の進化を遂げています。

今回は、アウフグースをドイツ国内外に広め、「ショー・アウフグース」という新しいドイツサウナ文化を築いたピーパー会長へお話を伺いました。

ドイツサウナ協会とは

ドイツサウナ協会の設立は1947年、正式に登録されたのは1949年です。

健康を促進するために、サウナ文化を広め、より最適なサウナ浴の確立と管理を支援することを目的として設立されました。

協会員は、サウナ施設やレジャー施設、ホテルとゲストハウス、サウナメーカー、サウナディーラー、企画事務所、起業家とサウナ関係者など約800人のメンバーで構成されています。

活動は多義に渡り、サウナ専門家の育成、科学的根拠に基づくサウナ入浴方法の研究促進、パブリックサウナの建設に関するガイドライン作成、サウナメーカーやサウナ関連商品の品質ラベル&推奨事項の作成、サウナに関する広告の監視、職業イメージ開発、個人への認定資格の発行、ビジネスコンサルティングなどなど。

以来、ドイツにサウナを根付かせるだけではなく、近年では独自のエンターテインメントであるアウフグースをドイツ以外の国にも広めて、ドイツにおける独自のサウナ文化を発展させてきました。

 

協会が主催するアウフグースセミナー
ドイツサウナ協会YouTubeチャンネルより

 

ピーパー協会長の功績

日本では、サウナといえばフィンランドというイメージがある人も多いかもしれませんが、サウナ文化は地域によって歴史があり、それぞれ特色ある発展をしてきました。

ドイツのサウナ文化は、追求できるエンターテインメント性の高い傾向があります。誰もが気軽な娯楽として位置付けている印象です。その点、日本人が健康ランドやスパに友達や家族と出かける感覚に似ているかもしれません。

そのような方向性で、ドイツのサウナ文化に大きく貢献してきたのがドイツサウナ協会であり、そのトップであるピーパー会長なのです。

これまではドイツでもフィンランドのサウナと同じくロウリュを主としていましたが、会長職に就任後は、アウフグースをさらなる楽しい演出として取り入れ、サウナマイスターの育成活動やアウフグースの評価基準を設け、ショー自体を監修や演出を担当するプロデューサーを育成したりと、お客さんに喜んでもらえるショーアウフグース(サウナエンターテイメント)を確立させたのもピーパー会長と言われています。

 

認定アウフギーサーによるショーアウフグースは50個以上の評価基準がある

ドイツサウナ協会の偉大な実績の一つが、アウフグースというドイツ発祥のサウナパフォーマンスです。フィンランドではロウリュと呼ばれるサウナストーンに水をかけて湯気加減を調整するものに近いのですが、アウフグースは専門スタッフが入浴者を盛り上げるようなサービスとして人気が高まり、今では世界大会の参加国数は16か国にもなっています。日本でロウリュと呼ばれているものはドイツ発祥のアウフグースを指すことも多いのです。

  

《参考URL》

アウフグースとは

http://metos.co.jp/features/loyly-aufguss/aufguss.html

世界サウナ旅<カールスルーエ/ヨーロッパバード>
http://metossauna.com/?page_id=18216

  

今回の旅ではこのアウフグースを、ヨルダンバードというサウナ施設で開催されていたアウフグース選手権ドイツ大会をピーパー会長とともに視察し、大いに学ぶことができました。

認定アウフギーサー達によって繰り広げられる大会では、50個以上の評価基準があり、ショーそのものを演出に関わるプロデューサーもいて、比類なき「汗の体験」がでした。

アウフグースの基本的な技術や知識についてのこと、大会での審査方法、ドイツでのサウナのトレンド、演出を担当するプロデューサーのシナリオ、アウフギーサー達の巧みな話術や熟練の技などの個性が光るパフォーマンスなど、さまざまな角度からドイツのサウナ文化の魅力に迫ることができました。

サウナマイスター

 

アウフグースをはじめとした、ドイツのサウナ文化に欠かせない存在がサウナマイスター。

演出を担当するプロデューサーのシナリオ、アウフギーサー達の巧みな話術や熟練の技などの個性が光るパフォーマンスも、温度や湿度などのサウナの管理、代謝など健康面への影響などなど、ドイツのサウナをあらゆる面から熟知し、経験を積んだ人達の巧みなサウナマイスターとしての基本となるサウナ全般の知識があってこそ成り立っていると言えます。

サウナにまつわる様々な知識を有したサウナマイスターは、日本でのサウナ・スパ健康アドバイザー制度の認定資格と同等の知識を持つエキスパートと言えるでしょう。

観客を楽しませる努力を惜しまないホスピタリティー

今回の旅では、ピーパー会長を始め、温浴ビジネスに従事している人々や、温浴をこよなく愛する人などから直接貴重なお話を聞くことができました。特に印象的だったのが、ドイツでも、フィンランドでも、どの国の人もお客さんをおもてなししたい、満足してもらいたいという気持ちは同じだということ。その中でそれぞれが工夫し、独自のスタイルを築いてきたのだなと実感しました。実際に自分の目で見て、感じて、学んだことを、いかに今後日本のサウナ文化の発展に活かしていくかが私たちのミッションだと強く感じた旅となりました。

 

ショウ吉永 Profile

福岡県生まれ。株式会社メトス代表取締役。本名・吉永昌一朗。

幼少期にボーイスカウトで自然と人の共存の重要性を学ぶ。航空自衛隊で整備士として働いていた時代、基地内にあるサウナへ同僚達と通ったことが、サウナの魅力を知るきっかけとなった。その後、アパレル業界、照明インテリア業界を経て、メトスへ入社。異色のキャリアならではの発想力と行動力で、日本の温浴文化を活性化させている。全国のサウナにロウリュを定着させるため、旧中山産業(メトスの前身会社)が蓄積していた膨大なノウハウと情報を活用し、「ikiサウナ」や「サウナisness」といったロウリュが可能なサウナヒーター、アウトドアでサウナ浴ができる「テントサウナ®」など、これまでにないサウナを日本に広めた。近年は、サウナとエンターテイメントを融合させる「ロウリュ熱波隊」プロジェクトや、サウナヨガなど、サウナの新しい楽しみ方を研究・提唱している。共著に「温泉の百科事典」など。