ひょっとこ
お正月や縁日の露店でおなじみの「おかめ、ひょっとこ」。
おめでたい時には、なぜか不思議と登場します。
やさしい目に下膨れの顔をしたおかめさんは、お多福ともいわれ、その縁起のよい名前から福が来るということを容易に想像することができます。
ところが口はとんがり、鼻毛は伸び、どこから見ても醜い顔のひょっとこはお世辞にも福が来るようには思えません。
「おじいさんは山へ柴刈りに・・・」というおなじみのフレーズがあるようにかつての日本では、燃料の確保は日常の仕事であり、薪が豊富に積んであることはこの上もなく幸せなことだと思われていました。 岩手県胆沢町、奥羽山脈から流れる胆沢川の先に拡がる扇状地。ここでは、「木積間(きづま)」といわれる建造物を見ることができます。家の周りに薪を積み上げ、薪の確保と冬の北西からの風を避けるための垣根の役割をするものですが、田植えの時期には、広大な水田に点在する木積間(きづま)が水面に映り、あたかも浮かんでいるように見える光景は、一見の価値があります。
火を熾し(おこし)、火の番をしていたのがひょっとこです。「火男(ひおとこ)」から転じてこう呼ばれています。とんがった口は火吹き竹で火を熾している口の状態を表しています。ひょっとこがいるということは、家の中の火が絶えることがなく、幸せであるという証なのです。
便利な道具に囲まれた現代社会において、かつてのような生活はできません。
暖炉・薪ストーブを設置してお父さんが火男となり、薪をくべ、火をつけてください。「お父さんは街へ火遊びに・・・」ということはなくなり、きっと幸せが訪れます。
著者紹介 著者:岩崎秀明 株式会社メトスが誇る、炎の伝道士。 豊富な知識とこだわりを持って、暖炉および薪ストーブの普及に励んでいる。 |