徹底解説 ネクター15CB

徹底解説 ネクター15CB

この記事は、「薪ストーブの達人BLOG by METOS NAGOYA」 2011年5月15日に掲載された記事を再編したものです。
一部、情報が古い場合があります。予めご了承ください。

■コンパクト&ローコストな薪ストーブ ~ネクター15CB~

ネクター社は、1975年にPeter Cannon氏によって設立された
オーストラリアで30年以上の歴史を持つ薪ストーブメーカーである。
厚い鉄板を溶接して作ったシャープなフォルムで、
洋風・和風を問わず、様々なインテリアにも合わせやすい、
シンプルなデザインが特徴のひとつである。
ネクター社の薪ストーブといえば、
オーブン機能があり、薪ストーブクッキングが得意な
ピキャンオーブンをイメージすることが多いと思う。
ピキャンオーブン以外の機種では、中~大型タイプのマーク2ネクター
今回ご紹介するコンパクト&ローコストなタイプのネクター15CBがある。
 

■コンパクトである魅力

コンパクトでも薪ストーブは暖かい。
鋼鈑製の薪ストーブは、鋳物製の薪ストーブとは違った暖かさや魅力がある。
鋼鈑は遠赤外線を輻射する効果が絶大であるし、その暖かさがとても心地よい。
また、どんな薪ストーブでも家にあれば、食後や週末の家族団欒の際に、
炎に触れ、薪をくべたり、暖かさを感じたりと、楽しさも同時に味わうことができる。
薪ストーブのおきまりの設置場所は、家族の集まる場所になることが多く、
リビングやダイニングに設置するのが定番となる。

また、新築やリフォームの際に薪ストーブの納入を計画した場合、
間取りや動線の都合もあるため、薪ストーブの設置スペースのことも重要になってくるし、
予算の心配もある。
どんな薪ストーブでも、大は小を兼ねるとは言えないし、
デザインや性能を重視に重点をおくことも否定できない。
ただ、ユーザーにはベストな薪ストーブを選んでもらいたい。

今回は、コンパクト&ローコストな薪ストーブとして、
以前紹介したベルギー製の鋳物の薪ストーブのドブレとはまた違ったタイプとなる、
このネクター15CBを紹介したいと思う。
コンパクトでも、薪ストーブだからこその魅力がある。
その魅力を今回、少しでも伝えることができればと思う。


■ネクター15CB(オーストラリア)
□燃焼方式    クリーンバーン方式
□材質      鋼鈑製
□扉位置     正面 
□給気調整レバー 2ケ所(1次側はダイヤル式/2次側はスリット式)
□灰受け     無し
□ヒートシールド オプション対応
□薪長さ     30cmがベスト(MAX38cmまで可能) 
□接続煙突径   150Φ  
□最高出力    15.0kw(12,900kcal/h)      
□炉開口寸法   W340×H255mm
□本体寸法    標準タイプ W460×D516×H725mm
         サイドヒートシールド付タイプ W546xD516xH725mm
□本体重量    標準タイプ 90kg
         サイドヒートシールド付タイプ 93kg
□本体色     マットブラック
□販売価格    標準タイプ
         ¥190,000(税別)
         サイドヒートシールド付タイプ
         ¥235,000(税別)
□暖房面積目安  62.1~99.4㎡ 
□外気取入機能  -


※注)給気システム
専用の外気取入キットは無となるが、高気密・高断熱住宅の場合は、薪ストーブ本体の燃焼用空気取入口付近にこのような
レジスター付の給気ガラリを利用して、外気を取入れると良いだろう。



■特徴
シンプルデザイン&コンパクトな大きさなのに、
15.0kw(12,900kcal/h)とかなりの高出力なストーブ。
しかも、標準タイプは20万円台をきった価格で、ローコスト!
炎がよくみえる大きな耐熱ガラス窓も魅力的。
扉正面のダイヤルで空気調整をする使い勝手も非常に簡単な薪ストーブだ。
炉内の灰はこまめに捨てる必要はなく、
囲炉裏のように炉床に灰を溜めて使用するとより効果的になる。
これをアッシュベッドと呼び、
炉の保護及び保温効果が期待できる。
余分で溢れ出しそうな灰はシャベル等で取り除き、
灰入れバケツに捨てると良い。


アッシュベット


灰入れバケツ(W18BK-S)、シャベル(F2-B)


■燃焼方式や構造
ネクター社独自の
クリーンバーニング方式を採用している。
薪ストーブ炉内への、燃焼用空気を取入れる量の調整により、
燃焼や燃費やをコントロールする。
1次側の燃焼空気は正面扉のダイヤルで給気の量を調整し、
2次側(エアーカーテン)の燃焼空気は正面扉の上部の隙間から
空気を供給する仕組みになっている。
そのため、上部にはガスケットロープが張ってない。


■ネクター15CBの扉/給気ダイヤル
ピキャンシリーズの特徴のひとつとして扉がある。
扉は鋳物を採用している。
鋳物は熱を蓄熱してくれるし、ネクター15CBのシャープな鋼板のボディの扉に
鋳物を使用するとはなんともセンスを感じる。
NECTREのロゴ入り。
また、同じピキャン社のピキャンオーブンと部品を共有することにより
生産の効率化を図っている。

使い勝手を追求したシンプルなデザイン。
右がOPENで左がCLOSE 実にわかりやすい。


専用の付属品のレバーを使用すれば火傷の心配もなく安心である。


■シルバーの取手
よく使い慣れた薪ストーブユーザーでも、薪をくべる際はストーブ用グローブを使用するのが
安全の必須条件となるが、この取手熱くなりにくい構造になっている。
シルバーの質感が思わず触ってしまいそうに、出来心を擽られてしまいそうだ。


■ガラスはもちろん耐熱ガラスを使用。(交換の場合 1枚 ¥18,000(税別))

■炉内・炉壁
薪は横におくのならば、30cm程度までがベスト。
少し窮屈な薪のくべ方ではあるが、
斜めにくべるのならば MAX 38cm 程度まで可能となる。
本数は常時 2~3本(中~太薪)くらいが目安となるだろう。
炉の中には、アッシュベッドをあらかじめ作っておくとより効果的だ。

炉壁には専用の耐火レンガが使用されている。
炉の中を保護する目的と蓄熱する役割がある。
割れてしまうようなことがあれば定期的に交換が必要である。
1ケ¥1,000円(税別)で購入できるので、自身で手軽に交換可能である。(全部で9ケ所使用)


■薪ストーブクッキング
ネクター15CBの天板は意外と広いし、300℃を超えるほど、熱くなる。
やかんをかけておけば、薪ストーブでお湯を沸かしたり、また加湿器代わりにしたり、
ダッチオーブンを載せて煮込み系の料理やスープ・シチューを温めてくれたりと便利である。
たまには炉内でご飯を炊いてみるのも良いかもしれない。
天板の温度は高温になるので、トリベットなどを利用して温度を調節すると良いだろう。

ネクター15CBの炉内はコンパクトなわりには案外広い印象。
熾き火をつくり、ピアット(F-464)やゴトク(G109)を炉内で使えば、
薪ストーブ料理の定番のピザなどが手軽に楽しめる。


□ネクター15CB推奨 アイテム
トッププレート(天板)にはトリベット(各種)・やかん(H-158)・ストウブ ピコココットラウンド(220Φ)などがお勧め


トリベット

キャセロールラウンドF-417

キャセロールオーバルF-418

Cocotte Ovale (ピコ・ココット ラウンド)
ストウブの定番商品である、

炉内には
ゴトク(G-109)・ピアット(F-464)


クリスマスやお誕生日やサプライズに、カラーコーン(S30991)・ギフトバスケット(SGB)


こんな炎が楽しめます(イメージ)。


■設置スペース
コンパクトな薪ストーブなので、設置スペースの問題も簡単に解決。

メトスチムニーの断熱二重煙突を使用した場合の参考値。
薪ストーブ背面から、レンガ・タイル壁面までの距離(最小寸法値)。

壁と平行に設置するプランなら、標準タイプがお勧め。


コーナーに設置するプランなら、サイドヒートシールド付きのタイプがお勧め。

設置プラン


■メンテナンスや消耗品パーツ
ガスケットロープやピキャン用耐熱スプレーなどがある。
また、ボディの錆止め・保護には市販のCRCを使用すると良い。

ネクター15 ガスケットロープ
ドアガラス w8 x t3mm x1.1m
ドア    13Φ    x1.05m

ガスケットロープは新品には耐熱シリコンを使用しているが、耐熱のセメント系の商品で代用可能。


ガスケットセメント S77E

2次燃焼(エアーカーテン)用給気調整
扉上部にある2ケ所の孔に六角レンチを使用して、上部調整板の微調整ができる。
調整板の出し入れで、給気の量を調整する仕組みとなる。


■魅力
 コンパクト&ローコストな薪ストーブで、火を扱う楽しみを改めて感じさせてくれる、
初心者から上級者まで、楽しめるモデル。
「使い勝手」「スペック」「品質」「デザイン」そして「コストパフォーマンス」が高次元で調和しており
大変優れた薪ストーブということができる。
火を扱う楽しさは、どんな薪ストーブでも共通の楽しみである。

※注)ネクター社(オーストラリア)の諸事情によりパーツ類の仕様や寸法等は予告なく変更する場合があります。
あらかじめご了承願います。


ネクター15CB(ネクター社)   輸入元/株式会社メトス

※価格はすべて税別です。