薪ストーブの基本原理(初心者)編
『 薪ストーブ イロハ講座 』
~その1~
薪ストーブの基本原理(初心者)編
【1.煙突の役目は何あに?】
自然排気による薪ストーブには、エンジンやモーターやファンが付いていて
機械的に煙を屋外に排気しているわけではありません。
薪をくべ、だんだんと火を育ててやると、炉内・煙突が暖まり、
自然な「上昇気流/ドラフト」が煙突内で起こります。
この「上昇気流/ドラフト」によって、煙は屋外にはき出されるのです。
この 基本原理 を知っているだけで、ちょっとしたトラブルに遭遇しても、
驚くことはなくなります。
初心者の、まだ慣れないとき、
うまく焚きつけできず、お部屋が煙でモクモクになり、
煙感知器がピーピー鳴ってしまい、家族全員慌ててしまうことも無くなるでしょう。
「上昇気流/ドラフト」簡単な原理です。
良く覚えておくと良いでしょう。
なるべく、煙の気持ちになって、建物間取りや設置場所の検討と同時に、
シンプルな煙突配管ルートもイメージしましょう!
【煙がお部屋にもどってきた】
今のお家は、大変 断熱性や気密性の良い建物です。
また24時間換気システムや、キッチンの換気扇・トイレの換気扇・お風呂の換気扇と、たくさんの設備機械が付いています。
一般的に住宅で多いのは、第3種換気(自然給気/機械排気)ですね。
もし、気密空間(お部屋)でそれらの機械を全て運転したら、どうなるでしょうか?。
きっと、排気過多で室内が負圧になってしまうでしょう。
そんな時、薪ストーブをつかうと煙が排出されず、煙が室内に戻ってきます。
つまり、煙突が給気口の役目をしてしまうからです。
煙突のトップから、室内へ向かって給気してしまうのです。
失敗すると、こんなことも!炉内に煙がモクモクです。
まず、慌てないことが、大事です。
調子良く、燃えていますね。
そのようなときは、お部屋の換気扇を止めたり、居室給気口を開けてあげたり、
窓を1センチでも開けてあげれば、すぐに外気圧と室内圧が均衡して、
室内の 負圧 が解消されます。
そうすれば、煙突の「上昇気流/ドラフト」による排気の力がまた、もどってきます。
また、外気取入れ可能な薪ストーブの機種を選んだり、
薪ストーブ本体の燃焼空気取入れ口の付近に
給気口を設けるのも良いでしょう。
↑ドブレ640CB-J専用外気取入キット
外気取入キットが無いものは
このようにして、薪ストーブ付近に給気口を設けると良いでしょう。
【2.薪ストーブの燃料はなんですか?】
薪ストーブを焼却炉のような使い方をしないでください。
ビニールや、化学成分(接着剤や塗料)のまじった廃材、ダンボール
ゴミや新聞・雑誌を燃やしてはいけません。
みかんやりんごの皮の生ゴミもいけません。(焼却炉ではないですヨ)
よく乾燥した薪を燃やしてください。
薪づくりに、自分はちょっとと不安があるユーザーは、
薪屋さんから、購入することも可能です。。
いきなりハードルをあげるのではなく、
徐々に体を、慣らしていくことも重要でしょう。
【3.薪に適した木はなんですか】
ナラ・ブナ・クヌギ・サクラ・リンゴ・アカシアなど 広葉樹といわれている木が最適です。
広葉樹は身が詰まっていて重く、油分も低く、大変 火持ち が良いからです。
一般に流通している市販の薪はナラ・クヌギ系が多いです。
カシ薪は火持ちが良くて、人気ありますね。
左から、カシ・シラカバ・ナラ・クヌギ・ケヤキ
乾燥した状態で、持ち比べると各薪により、重みが違うのが良く分かりますヨ。
薪割りして、苦労した甲斐がある
写真は、フィンランドのFiskars(フィスカス)のアックス
針葉樹は油分が多く、着火がしやすいのですが、火持ち があまりよくありません。
また、松などの油分の多いものばかり燃やしていると、火力が強いので炉を傷めたり、煙突内に
松脂のようなドロリとした煤(クレオソート)を付けやすいので、主燃料としてはあまりお勧めしません。
ただ、焚きつけ時に利用したり、木(薪)の特性を利用しながら、お使いいただくのは上手な使い方ですね。
上記のことを理解したうえで、杉薪などは、手に入りやすいですし、
焚くのもOKでしょう。
ただし、煤は比較的つきやすい樹種ですので、
うまく、薪ストーブのメンテナンスや煙突掃除をしながらとなりますが。
焚き方や薪の樹種によっては、丸トップの
防鳥網がこんな風に詰ってしまうことも。
(↓トップの裏側)
ここまで、放置したら超危険!
最低、年1度の煙突掃除を心掛けましょう。
(↓煙突内の様子)
【4.薪に始まり・薪に終わる・・・薪が命】
さて、広葉樹・針葉樹とありましたが、一番大切なことは、
よく乾燥させた薪を燃やすということです。
割ったばかりの生木の薪などは、どんな薪ストーブや B B Q の達人が火付けをしても、
なかなかうまくいきません。
それどころか、煙突から煙幕のようにモクモクと煙を出すばかりで、ご近所に迷惑をかけてしまいます。
また、煙突内もドロドロの煤で詰まらせてしまうほど汚れます。
玉切りした、直径25センチ~30センチの丸太を四つに割ったものでも、
風にさらして、雨をよけ、1年~1年半は乾燥期間が必要です。
木の細胞を枯らすのにはそれくらいかかるわけです。
屋根付きで、多少の雨は気にせず、
風通し良い場所で、乾燥させましょう。
【5.薪を燃やすことは環境破壊?】
薪を燃やしているかぎり、ダイオキシンなどは排出しません。
また化石燃料を燃やして発生させる
二酸化炭素とは違い、薪で発生した二酸化炭素は、また木が光合成と共に栄養として吸収循環する
エネルギーです。薪は循環型でエコロジカルな燃料です。
(カーボンニュートラルと言われています)
薪ストーブが普及することは、薪の消費を拡大させます。
いま、里山は荒れ放題で放置されているなかで、
薪ストーブのあるリビングと里山が直結することで、薪の供給源である里山の再生にもつながるのです。
そんな視点から見れば、
煙突のあるお家は、環境にやさしい家ですね。暖かい目で見守ってほしいものです。