
2010.05.31
こんにちは。枡野浩一です。
皆さん、暖炉の前に集まってください。
快晴かと思えば雨が降ったり、
不安定な天気が続きます。
いよいよ本日は最終選考の発表です。
*
まず、
多くの作品を寄せていただいたことに対して、
心よりお礼申し上げます。
とてもいい作品が多く、
迷いに迷いました。
最終選考は、
私を選考委員長として、
コンテストスタッフである関係者各位と
相談しながら慎重に決定しました。
以下、総評です。
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大賞は……、
宇津つよしさんの一首です!
おめでとうございます!
宇津つよしさんは、
私が長く運営してきた
「かんたん短歌blog」の常連投稿者。
本人とも何度か会話したことがあります。
そのため、
どうしても作品を厳しく見たくなるのですが、
予選通過作一覧を冷静に見つめた結果、
やはりこの一首の魅力は否定しがたいと感じました。
パチパチと薪ストーブが笑ってる あかるくしたしあかるくなれよ (宇津つよし)
「パチパチと」という擬音が、
一般的な表現でありすぎることに違和感も覚えたのですが、
これが独創的すぎる(宮沢賢治的な)擬音だったら、
「笑ってる」という動詞と組み合わせた場合、
より違和感があったかもしれないと考え直しました。
また、
「パチパチ」には拍手を連想させる効果もあります。
深読みかもしれませんが、
「パチパチ」以外の奇妙な擬音をつくることのほうが、
むしろ簡単かもしれないと最終的には結論づけました。
また、
「あったかさ」に着目した短歌は多かったのですが、
「あかるさ」に着目した短歌は比較的珍しかった。
そこも好印象につながりました。
薪ストーブに火をいれ、部屋をあかるくしたし、
沈んでいる君の心も、あかるくなれよ……。
そんな優しい励ましが、
無骨な言い方で表現されていて、
秀逸な一首だと思います。
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最後まで大賞候補に名前が挙げられていたのは、
レレレ田村さんでした。
レレレさんは、
予選通過した作品が多く、
どれも高レベルでした。
それゆえコンテストスタッフの票が分散してしまい、
「この一首!」というのが
最後に選びにくかったことも確かです。
が、切り口を発見する力は、飛び抜けていました。
ぜひ短歌を続けていってください。
*
それ以外の作品も素晴らしかったです。
個々の作品の評価に関しては、
予選の時点でコメントしておりますので、
ここでは繰り返しません。
一人の作者につき一首、と決めて選考しました。
膨大な予選通過作品を眺めていると、
たとえば長瀬大さんの一首のような、
「ほかの人は詠んでいない作風」
のものが上位に浮上してきます。
「暖炉とか薪ストーブのある部屋の
良さを伝える短歌大賞」は、
投稿作品すべてを応募者全員が読むことができるという、
非常に珍しい形式の短歌コンテストでした。
予選通過作品をそのつど発表してきたわけですし、
ほかの人の作品を意識した上で「目立つ」という、
戦略を練ることも可能だったと思います。
しかし最終的には、
あざとさのない一首を大賞に選ぶことができて、
私自身もうれしく思っています。
入賞者の皆様、おめでとうございます。
以下、入賞作です。
(作者と相談の上、誤字その他の表記を
一部修正した作品があります)
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■大賞(一首)
パチパチと薪ストーブが笑ってる あかるくしたしあかるくなれよ (宇津つよし)
■メトス賞 A(一首)
リビングの暖炉のそばで書きました 薪の香りを同封します (レレレ田村)
■メトス賞 B(一首)
薪くべるリズムでゆっくり話そうよ かじかむ心 暖炉にかざして (さっちも)
■メトス賞 C(一首)
暖炉って君が言うから私いつも ロダンでまける冬のしりとり (田原きみこ)
■メトス賞 D(二首)
談話する炉だから談炉というのかな 談炉じゃないわ暖炉と書くのよ (短篇吟)
わたしたち言葉に頼りすぎたから暖炉の火だけ揺らしておこう (野比益多)
■メトス賞 E(三首)
暖炉には薪を 僕らにごちそうを 暖まるってかんたんでいい (岡本雅哉)
だんだんとぽかぽかしてきた たのしいね 暖炉で団らんしようよ らんらん (長瀬大)
お父さん僕のたい焼きもう少し暖炉に入れてて焦げたのが好き (松本マサ)
■メトス賞 F(五首)
忘れられない人がいて暖炉では燃えるものばかりが燃えている (倉岡百枝) ※入賞作変更
どうしよう なかなかおいとま出来ません 薪ストーブに引き止められて (齋藤小鳥)
ため息にゆれる暖炉の炎たち 許してほしいゆれる私を (さく)
おたがいを見ずに暖炉の火を見つめ いつかの昔話をしたい (仁尾智)
ごめんねと素直に言える気がしてる 薪ストーブを見つめていると (方解石)
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以上、
入賞者の皆様には、
コンテストスタッフから
追って連絡を差し上げます。
何卒お待ちください。
また、
入賞作品をつかってネット広告などを
制作していく可能性があります。
今後もこのメトスサイトをご注目ください。
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では、
また寒くなったら、
どこかの暖炉の前で、
ともに暖まりましょう。
それまでお元気で!