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Sauna on Valmis! サウナ発祥の地、フィンランドの今を現地からリポート!


ヘルシンキで体験できる、サウナ文化をモチーフにしたリアル型脱出ゲーム

突然ですが、皆さんはこれまで「リアル型脱出ゲーム」と呼ばれるリアル・アドベンチャーを体験したことはあるでしょうか?脱出ゲーム(Escape Room)の目的はただ一つ、閉鎖された環境からの脱出。必死に体当りし壁を突き破っていくような体力勝負のゲームではなく、その部屋の中に巧妙に隠された手がかりやヒントをもとに、 洞察力とひらめきと知性と、何より参加者同士のコミュニケーション力とによって謎解きをおこない、スマートに部屋を脱出する方法を見つけ出す……という、エンタメ業界の新星ジャンルです。

ヘルシンキで体験できる、サウナ文化をモチーフにしたリアル型脱出ゲーム

このような娯楽は日本発祥と言われているので、日本の皆さんには今更説明するまでもないかもしれませんが、脱出ゲームはとりわけ2000年以降、まずネットゲームなどのヴァーチャル世界から火がつきました。作り込まれた長大なロールプレイングゲームに比べればずっと単純ですが、バリエーションも豊かで、誰でもパズルゲーム感覚で夢中になれます。やがて現実世界でも、 実際の建物や空き空間を利用した有料アミューズメント施設としての脱出ゲームが作られるようになり、これが一気に世界中の人たちを虜にしていきました。密室からの脱出というシンプルなミッションは、アドベンチャーと呼べるほど壮大でスリルに満ちたものではないでしょう。けれど、テレビ越しに見ているサスペンスドラマやバラエティ番組などで既視感のある世界、つまり一般市民にとっての「日常の先の非日常」を気軽に我が身で体験できるのが、リアル型脱出ゲームならではのスリルや醍醐味と言えそうです。

ヘルシンキで体験できる、サウナ文化をモチーフにしたリアル型脱出ゲーム

ヘルシンキの何気ない街の一角の建物に、外観からは想像もつかないからくりだらけの密室が用意されている

リアル型脱出ゲームのブームの波は、他の欧州国にやや遅れをとりながらも2014年以降ようやくフィンランドのアミューズメント業界に本格上陸し、ただ今、フィンランド全土を絶賛席巻中です。首都ヘルシンキだけでなく地方都市においても、いくつもの業者が街の空き物件を確保しては趣向を凝らした「密室」を作り出し、たわいない日常をちょっぴり退屈に感じている市民の呼び込みに成功している状況です。それでなくとも、フィンランドは日本なんかに比べてもまだまだ街なかでの娯楽の少ない国ですから、人びとが夢中になるのも自然なことかも(笑)

そんなわけで、近年まさに群雄割拠の時代を迎えた、フィンランドのリアル型脱出ゲーム業界。子供も大人も一緒に参加できる難易度のものから、慣れた参加者同士でどれだけ知恵を絞り合っても制限時間内でのクリア率が10%を切るような超難解なものまで、テーマも難易度もさまざまです。そのなかでも昨今、市民だけでなく旅行者たちからも一目置かれているのが、エスケープ・ルーム・ヘルシンキ(Escape Room Helsinki)社が提供している、フィンランド文化の知見や体験の要素を取り入れた、ユニークなローカルテーマ型脱出ゲームの数々です。具体的には、サンタクロースがテーマになったゲーム、ヘルシンキにある本物の劇場の地下室を利用し、筋書きも劇作品になぞらえたゲーム、そして、これはぜひともSauna on valmisで紹介せねばと今回みずから私が体験してきた、フィンランドのサウナ文化がテーマとなった脱出ゲーム!

ヘルシンキで体験できる、サウナ文化をモチーフにしたリアル型脱出ゲーム
ゲームの入り口は、湖畔のスモークサウナ小屋の玄関扉を模したドア

タイトルはズバリ、Secrets of the Sauna(サウナの秘密)。なんでも、フィンランド人にとっての1番贅沢なサウナタイムである、コテージに併設した伝統的な湖畔サウナのムードと、そこでの習慣や作法が、実際に服を脱いだり蒸気を浴びたりせずにゲームを解き進めながら体験できてしまうのだそう。というわけで予めことわっておくと、ここでは熱々の空間で本物のサウナ浴をしながら謎解きをするわけではありません。とは言え今回、日頃からとりわけサウナを愛するフィンランド人3名と台湾人1名、そして私の5名(うち私を含め4名はリアル型脱出ゲーム自体初体験)で実際にチャレンジしてきたのですが、いやはや、これはまさに「脱がないサウナ体験」!フィンランドのサウナ文化を語る上で外せないいろいろな要素が、謎解きのひとつひとつに散りばめられているのです。もちろんここでそのネタバラシをすることはありませんのでご安心を。ですが、うっかり口を滑らさないように気をつけながら、以下もう少しだけこのゲームのユニークさを紹介していきますね。

ヘルシンキで体験できる、サウナ文化をモチーフにしたリアル型脱出ゲーム

参加者が脱出すべき密室は、全部で3部屋。ひととおりルール説明を受けた後にまず通される(閉じ込められる)第1の部屋が、サウナ小屋によく併設されている「くつろぎ部屋」。サウナの前後に、人びとがバスローブやバスタオルを着衣した姿で暖炉を囲みながら、ゆったり飲み食べをしたりおしゃべりに花を咲かせたりする、歓談のためのスペースです。小規模なサウナ小屋では更衣室として使うことも。このゲーム会場自体は、ヘルシンキの都心のとあるオフィスビルのワンフロアに作られているのですが、サウナ小屋の雰囲気の再現度はなかなかのもので、インテリアはもちろん、閉じ込められた瞬間ほわんと壁から漂ってくる香りすらが、すでに湖畔サウナそのものです!けれど、そのリアリティに悠長に感動している暇はありませんよ。3室全部を脱出するまでに与えられた制限時間は、60分。はっきり言って、この時間内に全てをクリアするのは相当難解です。

先に言ってしまえば、私たちはどうにか2室めを突破し、最後の部屋の謎解きのための手がかり捜索を開始……というタイミングで、敢えなくタイムアウト。脱出ゲーム初心者集団としては「ここまでこれただけでも相当すごい」とスタッフに褒められはしましたが、それでも最終部屋を突破するために残されたミッションはまだまだたくさん。スタッフいわく、脱出ゲーム業界には決まりきった解法やメソッドが存在するわけではないけれど、やはりこれまで数をこなしてきたプレーヤーほど勘は研ぎ澄まされており、未体験のゲームでも鋭いひらめきを発揮できる傾向があるようです。

ヘルシンキで体験できる、サウナ文化をモチーフにしたリアル型脱出ゲーム
フィンランドのサウナ文化にはある樹木が重要な役割を果すことは、以前の記事を読んでくださった方なら知っているはず……

いつでも次なる部屋へと脱出するには、その扉を開けるための鍵を見つける(あるいは解錠番号を特定する)ことが必須。なにせ脱出ゲーム初心者ばかりの私たちは、腕試し程度の1室めからかなり時間を空費しつつも、開始10分ほどでどうにか2室めの、「洗い場」の間へ。ここは実際の湖畔サウナにおいて、サウナ室の前室にあたるスペース。シャワーがない代わりに、引いてきた湖水をサウナ室の薪ストーブの熱を利用してボイルし、かけ湯用の熱湯として貯めておける釜があることが多いですね。そしてこの部屋は、実際にもゲーム上でも、ロウリュのための桶や柄杓、体を洗い流すためのグッズなど、あらゆるサウナ用具の置き場。果たしてどれがどんなふうに解錠の手がかりになるやら……まさに疑わしいアイテムがいっぱいで、悩まされます(笑)ひとつ、それとなくヒントをお伝えしておくと、ここからは眼と脳を駆使するだけでは先に進めませんよ、ということ。実際のサウナも、五感を使って愉しむのが醍醐味。サウナ体験ならではの五感を研ぎ澄ますという姿勢こそが、このゲームでも大きな鍵を握っているのです。

ヘルシンキで体験できる、サウナ文化をモチーフにしたリアル型脱出ゲーム
最終部屋のサウナ室には、一体どんな謎解きが待っているのか…?

私たちが、制限時間わずか3分前にどうにか行き着いた最後の部屋は、もちろんサウナ室。室内温度こそ平温ですが、ここもかなり実際のサウナ室の再現度が高く、もはやビルの一室に居ることなんて、誰もがとうに忘れてしまっています。しんと静まった暗がりのなか、プレーヤーをいたずらに焦らせるように、どこからともなく聞こえてくる、ジュワッとロウリュの蒸気があがる音。不気味な光を放つサウナストーブの明かりを頼りに、とにかく手がかりを探してゆきます。ここでも、視覚情報だけにとらわれていてはいけませんよ。結局この部屋で早々に時間切れとなり、私たちはしょうがなくスタッフに残りの脱出手順を種明かししてもらったのですが、いやあ、あともう1時間あっても最後までは行き着けなかったかも(笑)それもそのはず、このSecrets of the Saunaゲームのクリア率は5-7%程度なのだそうです。

ヘルシンキで体験できる、サウナ文化をモチーフにしたリアル型脱出ゲーム

ただ、実はゲームを進めていく上で、どうにも行き詰ったプレーヤーがプライドを捨ててヒントを求めさえすれば、どこからともなく現れて、的確な助け舟を出してくれる存在も。それが、サウナ・トンットゥ。トンットゥ(tonttu)とはフィンランドの住居のあちこちに身を潜めていると言われる守り神のような妖精で、例えばサンタクロースのそばには彼の仕事を手伝うヨウル・トンットゥが、そして家や湖畔のサウナにはサウナ・トンットゥが暮らしていると、古来フィンランド人は語り継いできました。だから、サウナでは自分たちが退出する前に「トンットゥのために」と、もう1回ロウリュをかけてから出る風習も残っているのです。守り神のトンットゥは、もちろん脱出方法もゲームプレーヤーが慌てふためいている様子もぜんぶどこかでお見通しですから(笑)、謎解き中に「Apua, saunatonttu!(助けて、サウナトンットゥ!)」と叫んだら、ちゃんと的確なヒントをくれますよ。なにせ先は長いので、意固地にならず、私たちももっとこまめに活用したほうが良かったかな、と後になって思います。

 

ヘルシンキで体験できる、サウナ文化をモチーフにしたリアル型脱出ゲーム
最後はサウナハットをかぶってみんなで記念撮影!

さて、今回はネタバレを避けるために、終始奥歯に物が挟まったようなレポートになってしまいましたが、少しはサウナ脱出ゲームの魅力が伝わったでしょうか。最近は世界中のツーリストの間で、訪問国や街でリアル型脱出ゲームに挑戦する、というブームもあるのだそうで、だからこそ、ゲームを楽しむだけでなく郷土文化に親しむこともできる 「ご当地脱出ゲーム」は特に評価が高いのだそうです。皆さんも、サウナのメッカ、フィンランドにお越しの際は、リアルサウナ体験はもちろん、リアルサウナ脱出ゲームにもチャレンジしてみてはいかがでしょうか。プレイ中、ヒアリング力や読解力を多少必要とするので、英語もしくはフィンランド語ができる人と一緒に参加することをおすすめします。最大5名のグループでプレイ可能で、やはりできるだけ大人数で挑んだほうが、キャッチできる情報量もひらめきの多様性も増え、より楽しめるのではと思います。

チャレンジ成功でも、失敗でも、最後は参加者みんなでサウナハットをかぶって笑顔で記念撮影!ああ、でもサウナ通としてやっぱり自力でクリアしたかった!リアル型脱出ゲーム自体のノウハウや魅力も体験できたので、今度はまた違ったテーマの脱出ゲームにもぜひ挑戦してみたいですね。

 

■ Escape Room Helsinki(エスケープ・ルーム・ヘルシンキ)

ヘルシンキで体験できる、サウナ文化をモチーフにしたリアル型脱出ゲーム

ウェブサイト(英語):https://escaperoom.fi/en/
Secrets of the Saunaの開催場所:Yrjönkatu 17, Helsinki
予約ページ:https://escaperoom.fi/en/game/secrets-of-the-sauna/

※予約ページのカレンダーから日時を指定し、参加人数と代表者連絡先を入力。クレジットカードなどでの前払い制。料金は参加人数により80〜125ユーロ(参加人数が増えるほど、1人頭の料金が安くなる)。
※Escape Room Helsinkiは、2017年6月現在、ヘルシンキ中心街の全5箇所のロケーションで常時10以上の異なるテーマの脱出ゲームを提供している。すべてウェブサイトから紹介文の閲覧や予約が可能。



 

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こばやしあやな

筆者/こばやしあやな

フィンランドのユヴァスキュラ大学大学院に在籍し、芸術教育学を学ぶかたわらで、ライター、ガイド、翻訳・通訳などをおこなうフリーランサー。All Aboutフィンランドガイドを務めるほか、文化情報誌などに取材文やエッセーを多数寄稿する。甲斐甲斐しくて情報通で、愛され上手な「大阪のおばちゃん=おかん」が人生のお手本。在京時代に日々都内の銭湯巡りに勤しんでいたフットワークと経験を生かし、現在はフィンランドサウナ、とりわけ公衆サウナ文化に関心を寄せて、比較研究に取り組んでいる。

公式ウェブサイト: Suomiのおかん こばやしあやな
公式ブログ: Suomiのおかんの湖畔会議
公式Facebookページ: Suomiのおかん こばやしあやな

* このページに使用されている写真の権利は、こばやしあやなに所属します。

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